大岡昇平「俘虜記」を読む
今、大岡昇平氏の「俘虜記」を読んでいます。
氏は僕が好んで読む数少ない日本人作家のうちの1人です。実際、他の大半の(とくに芸術的であるともてはやされている)日本人作家は僕の感性や信条には合いません。彼らの文章は得てして「つまらない」からなのですが、そこは僕が小説は突き詰めれば「エンターテイメント」である、という考えを持っているからで、小説は芸術などと宣う連中とは主張を全く異にしているからでもあります。とかく日本人というのは何事もすぐに「芸術」にしたがる傾向が強く、時折辟易させられます。彼らにとっては小説も、絵画も、映画も、写真も、全てが芸術なのです。素直に楽しんだり、感動したりすることが彼らにとっては許せない。もっともらしい講釈がつかないと納得出来ないのです。
しかし、何にしても「エンターテイメント」であるからには読んで楽しいもの、もしくはそこから何か教訓を拾えるものでなくてはなりません。
ひたすらに主人公が自分を卑下したり、ただその場のインパクトを求めて過激なことを書いてみたり・・・というのは(少なくとも僕にとっては)面白いものではありません。難しい言葉を並べ連ねて、もしくは意味の無い文章を並べて、読者を煙に巻こうとする小説などもってのほかです。
悪い方のたとえで恐縮ですが、以前芥川賞を受賞作品「蹴りたい背中」を立ち読みしたことがあるのですが、まったく面白くありませんでした。不思議なもので、面白い小説というのは最初の数行を読むだけでわかっちゃうんですよね。「引力」というかなんというか、とにかく「蹴りたい背中」からはそれを感じませんでした。不明瞭な文章がただ意味ありげに(でも中身は無い)連なっているだけでハッキリ言って読んでいるとイライラしましたね。一緒にいた友人も同様のことをいっていたので恐らくこれが一般の人の感想ではないでしょうか?まあ元々芥川賞はそういった「面白くない」小説を取り上げる賞なので判っちゃいたといえばそれまでなんですけど。この作品の場合はもっぱら受賞者が若い女性だった、ということだけで話題になったような気がしますが、どうでしょう?
その点、大岡氏の小説は硬質ながらも読者に何かを伝えようとする氏の意思が手に取るように判ります。表現は簡便にして、明瞭。氏の筆力には舌を巻きます。「俘虜記」は氏自身の体験談なのですが、自己の内面描写、心理分析も鋭くも嫌みではなく、読んでいて先が気になります。こういうものを、本当の名作というのでしょうね。
・・・と久々に真面目にしめてみました。
氏は僕が好んで読む数少ない日本人作家のうちの1人です。実際、他の大半の(とくに芸術的であるともてはやされている)日本人作家は僕の感性や信条には合いません。彼らの文章は得てして「つまらない」からなのですが、そこは僕が小説は突き詰めれば「エンターテイメント」である、という考えを持っているからで、小説は芸術などと宣う連中とは主張を全く異にしているからでもあります。とかく日本人というのは何事もすぐに「芸術」にしたがる傾向が強く、時折辟易させられます。彼らにとっては小説も、絵画も、映画も、写真も、全てが芸術なのです。素直に楽しんだり、感動したりすることが彼らにとっては許せない。もっともらしい講釈がつかないと納得出来ないのです。
しかし、何にしても「エンターテイメント」であるからには読んで楽しいもの、もしくはそこから何か教訓を拾えるものでなくてはなりません。
ひたすらに主人公が自分を卑下したり、ただその場のインパクトを求めて過激なことを書いてみたり・・・というのは(少なくとも僕にとっては)面白いものではありません。難しい言葉を並べ連ねて、もしくは意味の無い文章を並べて、読者を煙に巻こうとする小説などもってのほかです。
悪い方のたとえで恐縮ですが、以前芥川賞を受賞作品「蹴りたい背中」を立ち読みしたことがあるのですが、まったく面白くありませんでした。不思議なもので、面白い小説というのは最初の数行を読むだけでわかっちゃうんですよね。「引力」というかなんというか、とにかく「蹴りたい背中」からはそれを感じませんでした。不明瞭な文章がただ意味ありげに(でも中身は無い)連なっているだけでハッキリ言って読んでいるとイライラしましたね。一緒にいた友人も同様のことをいっていたので恐らくこれが一般の人の感想ではないでしょうか?まあ元々芥川賞はそういった「面白くない」小説を取り上げる賞なので判っちゃいたといえばそれまでなんですけど。この作品の場合はもっぱら受賞者が若い女性だった、ということだけで話題になったような気がしますが、どうでしょう?
その点、大岡氏の小説は硬質ながらも読者に何かを伝えようとする氏の意思が手に取るように判ります。表現は簡便にして、明瞭。氏の筆力には舌を巻きます。「俘虜記」は氏自身の体験談なのですが、自己の内面描写、心理分析も鋭くも嫌みではなく、読んでいて先が気になります。こういうものを、本当の名作というのでしょうね。
・・・と久々に真面目にしめてみました。



